選書紹介『ゲド戦記~影との戦い~』

今日のデコボコ選書は、「ゲド戦記~影との戦い~」です。

ゲド戦記は全6巻のシリーズになっていまして日本では3巻の「ゲド戦記~さいはての島へ~」が映画化されました。スタジオジブリのなかでは賛否が分かれる作品ですが私は好きな作品です。

なぜこの本にしたのかといいますと、今までのデコボコ選書では小難しい本ばかりを扱ってきたので(特に吉田。)、たまには小説などを紹介して楽しもうと思った次第です。

架空のカタカナの地名などが結構出てくるので少しややこしいところもありますが、内容的には中学生からでも読めるものになっています。
学校で読書時間があって本を決めかねているそこの君におすすめです。

※以下はネタバレを含む内容になっているので読まれる方は注意してください。

本のあらすじ

本書のストーリーは、魔法が存在する架空の地アースシーで後に最も尊敬されることになる主人公であるゲド(ハイタカ)の若き頃の物語が描かれています。

小さい頃から才能にあふれ魔法使いになるためにロークと呼ばれる魔法学校に通うことになります。
そこで自身が優秀であることを証明するためにアースシーでは禁忌とされている魔法を使い「影」を生みだしてしまいます。その「影」との戦いを描いた作品となります。

日本のゲド戦記の映画ではゲドは老賢者のように描かれていますが、本書では少年~青年期のゲドが描かれているので映画を見たことがある人にとっては新鮮な印象を受けると思います。

ちなみに映画のゲド戦記ではゲドの顔に傷がついていますが、これは本書で影を生み出してしまったときにできた傷です。


尾崎氏はkindle paperwhiteを愛用しています

「真の名」

アースシーでは世界のあらゆるものは「真の名」を持っており、「真の名」を知っていればそれを操作・支配できることができます。

魔法学校に入学したゲドはあらゆるものの「真の名」を覚えていくこととなります。
「真の名」を知られてしまうと操られてしまうので、アースシーの人々は本当に親しい人にしか「真の名」を明かさずに、通り名を使って生活しています。ちなみにゲドは「真の名」で普段はハイタカと呼ばれています。

名前を重要視している作品は結構あって私が今思いつくのは「千と千尋の神隠し」や「デスノート」でしょうか。千尋は名前を奪われ働かされることになりますし、デスノートでは名前を書かれると死にます。
また、小説などでは主人公の名前が明かされないケースも結構見られます。主人公の名前をあえてなくすことによって読者がより物語に没頭できるようになっているのかもしれません。
これらの作品から「名前」という概念がどれだけ力を持っているか理解することができます。


言わずもがな我々の住む現実世界でも「名前」は重要です。
アースシーと同じように世の中のほとんどすべてのものに名前がついています。名前のないものを思い浮かべろといってもあまり出てきませんよね。
しかし、名前があればそれを理解することができるし、分類することもできます。私たち人間にも一人ひとり名前がついていて、誰かの名前を呼んで指示を出せばその人は従ってくれるかもしれません。そうした場合、ある意味その人を操作・支配したと言えるのではないでしょうか。魔法が存在するアースシーの世界と同じですね。

また、現代のSNSでは匿名で発信している人も結構多いと思います(もちろん本名を使ってる人もいます。Facebookなどは本名で信頼できるSNSとなっていますね)。
親しい人には本名を明かしSNSのような不特定多数が見るものについては別の名前を使用する。アースシーの「通り名」と「真の名」と同じような構造になっていますね。

本書はおよそ半世紀前に出版された本ですが、現代のSNSでの名前の扱いとも少し重なる部分があって非常に興味深いですね。



こんな感じでデコってます

前述では「名前」について中心に書きました。しかし「真の名」については物語の小さな設定の1つに過ぎません。副題にもあるように本書の最大の魅力は「影との戦い」にあります。
本来であれば、この影の部分に焦点を当てて書きたいのですが、一番面白い部分をあまりネタバレしたくないので短めに書きます。

本書における影は、「切り離すことのできない自分の悪い部分」と解釈されることが多いです(読み手によっては他にも解釈があるとおもいます)。
どんなにいい人でも人生の中で必ず自分の悪い部分と向き合わなければならない時があるかと思います。特に失敗してしまったときなどは、よりはっきりと自身の影が見えてきてしまうかもしれません。
そうしたとき、影と必死に戦うゲドやゲドの魔法の師匠の言葉、傷つけたにも関わらず真の名を明かしてくれた親友の物語は勇気を与えてくれます。

本書は一般には児童文学作品と位置づけられていますが、大人が読んでも色んな発見がある作品です。
興味があれば是非読んでみてください。

最後に自信を失ったゲドに勇気を持って自らの真の名を明かした親友カラスノエンドウに習って、私も真の名を明かします。

私の名は尾崎圭太。今後ともよろしくお願いいたします。




紹介者:尾崎

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