選書紹介『音楽は自由にする』/ 坂本龍一

本日のでこぼこ選書は

『音楽は自由にする』/ 坂本龍一

本書は、音楽家・坂本龍一氏が嫌々ながらも自身の半生を振り返った、

言うなれば坂本龍一氏の「自分史」です。



この本、中学生吉田の愛読書でした。

当時YMOが出演していた「キリンビール」のCMを偶然にも目にした中学生吉田は、そこで流れていたRYDEEN 79/07を聴いたことをきっかけに、YMO、そして坂本龍一氏の音楽にハマっていきました。

(アコギの発表会で「Merry Christmas Mr. Lawrence」を演奏させてもらった記憶もあります、坊主頭で。)


その勢いのまま、本屋で平積みにされていた本書を手に取った覚えがあります。

学校の行き帰りの時間に何度も読んでいたような。

最近改めて読み返してみたのですが、当時とはまた違った学びや気づきがありますね。

本コラムの主旨

2023年4月2日、坂本龍一氏の訃報が届きました(コラム公開日の約2~3週間前)。

以前から闘病生活を続けていらっしゃったとのことで、覚悟はしていましたが…やはり悲しいものがあります。

このタイミングで坂本龍一氏の自伝を紹介することには、葛藤もありました。

軽薄なのではないか、話題に乗っかっているだけなのではないか、

実際、そういった風に思われても仕方がないかもしれません。

でもそれでも、坂本龍一の一ファンとして、残された側にできることは、

坂本龍一の音楽を聴き続けること、坂本龍一の生き様を後世に伝え続けること、

そして規模は小さくとも、追悼の意を示し続けることなのではないかと思い至り、
今回のコラムで紹介することに決めました。

具体的に何を書こうか非常に悩んだのですが、今回は本書の概要とともに、本書を読んで自分自身がぼんやりと考えたことを、つらつらと書いてみようと思います。

#私が好きな坂本龍一10選 12曲ある

巻き込まれる才能

本書は、様々な出会いの中で「音楽家・坂本龍一」が生まれていく過程を描いた、

いわば「坂本龍一」の起源を探る旅とも言えるでしょう。

本書で語られている坂本氏のご経歴を大まかに書き並べてみると、

3歳からピアノを、10歳から作曲の勉強をはじめ、東京藝術大学の作曲科に入学、

その後、大学在学中にスタジオミュージシャンとして活躍した後、

YMOのメンバーとしてデビューし、世界的な大ヒットを記録、

さらには数々の映画音楽を担当し、日本人初となるアカデミー作曲賞を受賞、などなど…。

やば。絵に描いたような「天才音楽家」ですよね…。

改めて見てもとんでもないです。

そして音楽活動のみならず、環境保護や政治運動などの社会的活動に打ち込む姿は、

多くの人々に勇気を与えてきたのではないでしょうか。



そんなアクティブなイメージの坂本氏ですが、

意外にも「自分から進んで始めたことなんてほとんどない」と語るのです。

例えば、ピアノは周りの生徒がやっていたから、作曲は先生に薦められたから、

スタジオミュージシャンやYMOだって、誘われたから始めただけ、

環境保護運動に関しても、偶然知ってしまったから、やむを得ずやっているだけ、

「行きがかり上」、いろんな体験をする羽目になってしまったよ、いやはや。

みたいな、ある種の「受け身」のスタンスで「自分史」を紡いでいる印象を受けます。

(あとがきは、音楽家としての人生を歩ませてくれた、身の回りの人々や環境への感謝で締めくくられています。)

照れ隠しや謙遜も含まれているのかもしれませんが、その一方で全編を通して読んでみると、
この人は「巻き込まれる天才」でもあるんだと、どこか腑に落ちた部分があります。


一般に「巻き込まれる」というと、後ろ向きでネガティブな印象を受け取る方も多いような気がします。

しかし何かのプロジェクトに「巻き込まれる」ためには、当人の実力やセンスもさることながら、

その当人が色々なものに「開かれ」ていなければならないのではないでしょうか。

そんな、いわば未知との遭遇を楽しみ、飛び込んでいく氏の姿勢は、本書の随所でも窺うことができますが、
常に「前衛的」に、新しい表現の可能性を探求し続けてきた音楽家としての姿にも象徴的に現れているともいえるのかも。



また、様々な他者に巻き込まれ、様々な他者と出会うことによってこそ、
自分とは何者で、何をしたいのかが見えてくる、といったこともあるかもしれません。

実際坂本氏は、YMOのプロジェクトに巻き込まれたことによって、本当に自分のやりたいことが明確に見えてきたと語っています。ここら辺のお話もアツいので、詳しくはぜひ本書を。


「人を巻き込む力」と同じくらい、「巻き込まれる力」というのも大切なのかも?

読了後、そんなことをぼんやりと考えていました。


余談:愛読書の影響力?

余談かつ大変恐縮なお話なのですが、今回読み直した際、異様に共感する節が多い印象を受けました。

例えば、本書冒頭の一節、自身の人生を振り返ることについて、

「記憶の断片を整理してひとつのストーリーにまとめるのは性に合わない」といったような趣旨の発言があるのですが、初っ端から「え、ぼくじゃん」となりました。

何しろ多感な時期の愛読書ですので、無意識のうちに影響を受けていたのかもしれません。
若くしてそんな本に出会えた自分は幸運だなと、なんだか温かく、誇らしい気持ちにもなりました。

「坂本龍一」の起源を探る旅を通じて、まさか自分自身の起源をも探ることになるとは!(何も上手くない)

おわりに

箴言を1つご紹介します。

「art is long , life is short.(芸術は永く、人生は短い。)」

坂本龍一氏が生前好きだった一節のようです。

坂本龍一が遺した「art」としての作品たち、そして「art」としての「坂本龍一」は、

この先も末永く聴かれ続け、輝き続けるに違いありません。

コラムを書き進めるさなか、「Ballet Mécanique」の歌詞が頭をよぎります。

ボクニワ ハジメト オワリガ アルンダ

コオシテ ナガイ アイダ ソラヲ ミテル

オンガク イツマデモ ツヅク オンガク

オドッテ イル ボクヲ キミワ ミテイル

「Ballet Mécanique」『未来派野郎』より引用。作曲:坂本龍一、作詞:矢野顕子、翻訳:ピーター・バラカン、1986年。



そしてここでビッグニュースなのですが、

本書、『音楽は自由にする』の文庫版が4/19に発売されました(コラム公開日の前日!)。

なんとも凄いタイミングではありますが、お手に取りやすくなった本書、

ご関心を持たれた方は、これを機にぜひご一読くださいませ。


最後にはなりましたが、坂本龍一さんのご冥福を心よりお祈りいたします。






紹介者:吉田

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