選書紹介『測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか? 』
世はまさに、大測定時代!!
数値化できるものを善とし、数値化できぬものを悪とする。
そして測れるものは何でも測る!
測りそして数値化することで、何か確かなものを得たと言わんばかりに人は安堵するのである。
まるで、説明責任を果たしているかのように・・・。
まるで、確固たる成果があることを証明しているかのように・・・。
しかし人は本当に測りたいものを測れているのだろうか?
測ることで生じるデメリットは無いのだろうか?
本書は、そうした「測る」ことに傾倒している現代に対して、「測ること」が生み出す
数々の弊害を取り上げ、「測りすぎ」の世の中に一石を投じている。
数値化し、目に見えるものだけしか信じられなくなった人間の末路を、本書では克明に描き出している。
そしてそこで明かされるのは、測定至上主義の背後に蠢(うごめ)く、現代では許されざれる人間の残念な愚行の数々であった。
人は如何にして、道徳や正義を放棄し、保身や悪の道へと走るのか・・・。
「数値化」や「評価」という制度に囚われ翻弄される人間の儚さに迫る現代人必携の書!!!
ということで、前置きが長くなりましたが、本日の選書は
「測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?」です。
最近難しめな紹介が多かったので(特に吉田。)、それにあやかって、今回は学術っぽい本の紹介です。
この本、研究者界隈では少し流行っていた本だったと記憶しています。
測りすぎの問題点
冒頭でよくある誇大広告っぽい感じでかなり極端な物言いで書きはしたのですが、何かを評価する際に何かしらを数値化し、その数値を用いて評価の基準をつくり、そしてそれをもとにある人を評価する。
このことはとても一般的に行われていますよね。
学校のテストや通知表もそうですし、会社ではどのくらい契約をとれたか、といった業績をもとに人事評価する際なんかにも用いられる考え方だと思います。
しかし、こうした数値化して誰かを評価するという制度も使い方によっては、本来の目的から離れてしまったり、本人のやる気を削いでしまう危険性も大きく孕んでいると本書では言います。
しかもそれは、医療、教育、政治、ビジネス、慈善事業など、およそ人が集い、評価のある環境ではもれなく業界・領域に関係なく似たような問題が起きていると述べております。
本コラムでは、本書で述べられている考え方をもとに、教育現場で実際に耳にしたことがあるような?架空の事例をいくつか捏造して紹介してみたいと思います。
どこかの教育現場でおきているかもしれない問題
1.元々の趣旨から逸れる
ある私立学校は合格実績を上げて、より多くの生徒から今後受験してもらえるようになるために、実質的な知識(美術、音楽、体育など)よりも数値化できる入試科目の教科に多大な力をいれている。
しかし、教育とは本来数値化できるものだけでなく、数値化しにくい科目も扱うことで人間性も含めてその人を育むのが目標のはずである。しかし、合格実績という目に見える数値化できる基準を掲げることで、元々あった教育の意義や目的を果たすことが難しくなってしまった。
2.やる気を奪う・不正が起こる
ある教育現場では、生徒への評価が全てテストの合計点で決定される。そのため、生徒の頑張り(プロセス)よりもテストの点数(結果)で評価され、どんなに頑張っても点数が低ければ評価はされず、そうした生徒は徐々に努力すること自体が苦しくなってしまった。
さらに、そこでは点数至上主義であるが故に、競争が生まれ、努力が出来ない者は、勉強を頑張る代わりにいかに楽して点数を取ることが出来るかを考え、最終的にはカンニングなどの不正に手を染めることになってしまった。
3.改ざん・ごまかしを行う
ある教育団体が政府から助成金を受けている。しかし、ある公的試験においてそこに通う生徒が一定の試験結果を示すことができなかったら助成金がストップしてしまうという。しかもその団体では先生達に助成金が仮にストップしたら給料を下げると脅す始末である。そのため、試験中に先生ができの悪い生徒には試験の解答に手を貸し、実際の点数よりも高く見せかける行為に加担することとなった。そのお陰か、その団体は今後の助成金を守り、先生は給料を守り、そして生徒は教育の機会を奪われてしまった。
ということで、これはただの捏造した架空のお話なのですが、少なくともアメリカではこれと似たような事案が発生しているそうです・・・。
まさか日本ではこんなことがある訳ないと信じたいのですが・・・。
最後に
測ること。それは個人の経験に基づく主観的な判断の代わりに、より個々人にとって公平で公正な評価を受けられるようになるのに非常に有益なツールであります。
そのことは本書でも繰り返し主張されています。
しかし、何かを評価するために、測定基準に執着したり測ることに拘り過ぎると、意図せぬ好ましくない結果を生み出してしまう。これもさんざん本書で書かれておりました。
要は「使い方」ですよね。
この点、本当に大事にすべき視点だと思います。
他の業界についての問題や、その他、「測定」にまつわる批判点や哲学的議論も満載の本書。
読んでいて、制度と人間の「狭間」から見えてくる、人間の悲しい一面と興味深い側面についても語られており、なかなかに面白いです。ぜひ普段評価をする側の人も評価を受ける側の人も気になる方は読んでみてください。
やはり人間は、何かとの「間」から生まれる「関係」の世界で生きているんだなと思いました。
そして仮に同じ「間」を持っていたとしても、そこでの振る舞いは人によって違うんだなと感じます。
どんな「間」を持っていて、その「間」とどう関わるかで、「その人らしさ」というものが見えてくる。そんな気がします。
さて、あなたはどんな「間」を持ち、そしてそれとどう関わりあって生きていますか?(笑)
私は・・・・(笑)。
紹介者:熊谷
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