選書紹介『意味の変容』(1) / 森敦


壮麗なものには隠然として、邪悪なもの、怪異なもの、頽廃したものが秘められ、夜光のような輝きを放っている。いまもし、壮麗なものを世上の謂うところに従って、崇高なもの、美麗なもの、厳然としたものであるとしてみよう。たんなる空しい語彙の置き換えに終わって、壮麗なるものを壮麗たらしめる、夜光のような輝きを放つことはできないであろう。
(中略)
ともあれ、この崇高なもの、厳然としたものと、邪悪なもの、怪異なもの、頽廃したものとは、互いに境界によって内部、外部を形成するところの反対概念である。
(中略)
このようにして、壮麗なものは、反対概念を包括する全体概念であると言っていい。

『意味の変容』、森敦、ちくま文庫、2005、p5-7.



私の成長

突然の引用、失礼いたしました。

しかしこの文章、この本の冒頭の書き出しなのである。

「え。何言ってるの・・・?」


初めてこの本と出会ったのは確か21、2歳の頃でした。
先輩の紹介で読み始めたのですが、正直に白状します。途中で読むのを諦めました。(笑)

だって、何を言っているのか、何が言いたいのか、なぜ筆者がこの本を書いているのか分からなかったからです。意味不明過ぎて途中で棄権したのを覚えています。(笑)

紹介してくれた先輩も後で聞いた話、全部読んだそうですがよく意味は分からなかったそうです。でも、「何か凄いことが書いてある気がする」ということでこの本の存在を教えてくれたんだそう。有り難い。

あれから10年経たないくらいですが、自分の成長を確かめる意味でも、久しぶりに再読しようと決心し読み始めました。


が、やっぱり難解です。(笑)

特に「何の話をしてるんだ?」と場面やテーマについては序盤ではあまり語られず、抽象度の高い話を始めからぶっこんでくださっているおかげで、軸足がないままムズカシイコトバをムズカシイコトバのまま読み続けるしかありません。理解するためには、まるで宙吊り状態に耐えるかのように読み進めないといけない。これがなかなかに苦行で面白いのです(笑)。

暗闇の中、何の頼りもなしに、ただただ前に進んで行かなければいけない時の不安・・・、そんな雰囲気を味わうことができます。

実際に読み始めて自分自身の成長として感じたのは、知識云々が増えたとか言うよりも、「分からなくてもとりあえず読み進める」という一種の忍耐力やゆとり、楽観的な態度が自分にも備わってきたんだなという所です。

これは大成長!昔は全て分からないと前に進めないような完璧主義的ボーイだったので(笑)。

今なら分かります。

「完璧」は人間の属性ではないのです。それは機械の属性です!多分!(笑)


ということで、多少は人間として成長できているんだろうという希望的観測のもと、本書をニコニコと読んでおります。

とはいってもこの本、なかなかに難解で正直に話しますとまだ全て読み終えておりません。

なのでとてもじゃないですが、この本の紹介は今は出来ないのです。ごめんなさい。。。

でもこのまま終わりというのも良くない気もするので、ちゃんとした紹介は次回の自分のターンの時に書きたいと思いますが、読み始めての所感を少し書いてみたいと思います。

読み終わった時と全く違うことを言っていたらすみません。(笑)

読み始めてみての第一感

この初めの冒頭文を読んで真っ先に思い浮かんだのは、「恋人関係」です。

やたら難しそうな言葉ですが、引用文をかみ砕くと要は、「美しいものの中には醜さがあって、その醜さがよりその美しさを際立たせる。そしてその逆も然り。それぞれが部分でもあり全体でもある。」的な感じだと私は解釈しております。

つまり、「美しさ/醜さ」という概念を全体として捉えるためには、その対となるイメージも含まないと完成されないということです。つまり、矛盾を含んでこそ絶妙なバランスを保った真の存在になる的な感じですかね。うーん、でもまだ難しいですね。


わたし、たまに生徒と恋愛の話をしたりするのですが、そこでよく挙がるのが「○○君たち付き合ったらしい!」とか「○○さんたち別れたみたい!」的な超ローカルゴシップなお話なのです。ここではどのくらい付き合ったとか、どのくらい長続きしそうか、といったテーマについても盛り上がります。

この手の話に大真面目に乗っかってちょっとだけ考えてみると、長続きする人間関係に関する研究とか、友人や先輩後輩の話なんかを聞いていると、ある共通点がありそうだなと思いました。

それが、「関係性に対する形容の仕方」です。

ムズカシイですよね。ごめんなさい。

長続きしてそうなカップルの共通点?

先に予防線を張っておきますが、これから述べることは必ずしも皆が当てはまるというわけではないのであしからず。不変の真理なるものは現世的な物の観方では到達するのは厳しい気がしてますので。(笑)あくまで「傾向がある」くらいでお願いします。

では早速ですが、ある共通点とは長続きしてそうなカップルとそうでないカップルが使う表現では違いがある?というものです。それが以下の違いです。



・別れやすい?カップルがよく表現しがちな相手への評価

「○○だから好き(嫌い)」(順接・無矛盾)



・意外と長続きしている?カップルが表現しがちな相手への評価

「○○だけど好き」(逆接・矛盾)



とってもシンプルですよね。要は「好き」という判断を下す際の理由に注目すると、

大体、自分にとって都合の良い部分ばかりを理由に挙げている場合、意外と時間が経つと別れてるなぁという印象があります。


もちろん最初は「○○だから好き」で良いんですけど、自分にとって良いことばかりあるから好きだという理由だと、ネガティブなことが起きた時に意外と対処できなかったり、耐えられてないケースが多い気がするなと。例えば程度の問題はあるにしても、「思ってたのとは違くて別れた」みたいな話は割と聞きますし。

でも、長続きしてるカップルは結構な割合で「○○だけど好き」といったネガティブな要素を受け止めながらも、それでも好きだと言えているような気がしてます。だからこそ一緒に居れてるのかなとも思うわけで、長続きしているカップルほどこういう矛盾を含んだ表現をしている場合が多いのかなと思いました。

さっきも少し触れましたが、もちろん付き合い立ての時は「○○だから好き」という表現は多いかもしれないですが、この表現が「○○だけど好き」に変わったり、そういう表現が増えたりすると、なんか「恋」が「愛」に変わってきた感じがしますよね(笑)。

(↑なんの話?)


でもこういう変化はどうやって生まれるんでしょうね。
自分は「精神的な成長」はとても大きい気がしてます。

心理学の中にあるいくつかの精神発達理論なんかを読むとそんな気もしますし、そういったことを知らなくても直感的にそう感じる人もいるかもしれませんね。

ただし、物事は様々な要因が複雑に絡み合って一つの現象を生み出していますよね。

だから理由やら要因は他にも当然たくさんあると思います。例えば「精神的な成長」以外にも、趣味や性格などの個人的な特性や、自分が身を置いている環境や文化、その時の状況・タイミング、食生活みたいなものもそうです。

自分が見ている視点はあくまで一面ですし、その意味では何かに対する自分の判断や解釈は「正しくもあり間違いでもある」はずです。これも一種の矛盾ですよね。

人間はきっとこうやって日々矛盾の中で生きています。

「上司の言ってることが違う」とか「朝と夜で気分が違う」とか・・・。

(↑うん、たぶん矛盾の種類が違う・・・(笑))


なので、何かを理解したり知ろうとするためには、様々な「矛盾」ともとれる逆説的な事柄も含めながら捉えようとする態度がとても重要な気がしています。そして矛盾を許すお心。

本書の冒頭付近を読んで、「矛盾した状態を含んでいるからこそ、それが実は全体(真)なのだ」という「狂気」と「謎の安堵感」を覚えるのはわたしだけでしょうか?(笑)





はい!

ということで、いつも通り話がだいぶ逸れてきたところで今回はこの辺にしたいと思います。

あ、今回のでこぼこ選書は「意味の変容」でした!

次回の私の番までには全部読んだ上できっとご紹介できると思われます。



P.S.

以前吉田さんが紹介した『かわいい論』でも、「かわいい」は「グロテスクさ」を含む的なことを言ってたような、言ってなかったような。そして尾崎さんの紹介した『禅的修行入門』でも禅の修行の目的のくだりでも似たようなお話があったような、なかったような。

矛盾とは正義なのかもしれない・・・。(笑)




紹介者:熊谷




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